QSV 20120202

2012年2月2日 木曜日 by かわもと眼科院長

今日はとても寒いです。山陽自動車道は徳山西から玖珂まで,雪のため上下線とも通行止めのためか,一般道の交通量がいつもより多いようです。

 

先週から4回にわたって放送されているNHKスペシャル「ヒューマン なぜ人間になれたのか」という番組をご覧になっていますか?丁寧に作ってあり,脳科学や人類学の知見を織り込みながら展開する番組構成は,もはや民放ではみられないほどの丁寧な番組制作です。一押しの非常に興味深い番組です。アフリカ南部に誕生した私たち人類の祖先であるホモサピエンスがいかにして現在の繁栄を築いたのかという視点で,現在と過去を往復しながら番組は展開して行きます。第1回の放送で興味深いデータが示されていました。世界各国で行われたある実験を紹介した箇所です。被験者の前に10ドル(1,000円紙幣10枚でも良いかもしれません)の現金を置き,「ここに10ドルのお金があります。すべて持って行かれても良いですし,すべて誰かのために与えるために置いていっても良いです。半分ご自分で持っていき,半分を誰かに与えるために置いていっても構いません。誰も見ていませんので,あなたの好きなようにしてください」という条件を与えると,世界中の人々が,人種に関わらずほぼ同じ行動をとるのです。実験の結果は,概ね6ドルを自分に,4ドルを見ず知らずの他人に与えるために置いていくというのです。日本人の場合は55対45,すなわち100のうち55を自分に,残りの45を他人に置いていったそうです。私はこの数字をみて,あることを思いました。それは先進各国の所得税の最高税率です。先進各国の最高税率(所得税+住民税)は概ね40〜50%のレンジに収まります。アメリカは45.1%,英国40%,ドイツ47.5%,フランス48%,そして日本は50%です。私の勝手な解釈ですが,人間は自分の取り分が半分を超えてしまうと急激に喪失感(損をした感じ)という気分に見舞われる動物なのではないでしょうか?所得税の最高税率の決定には何の理論的帰納性はないようにみえますが,この数字は,実は私たち「ホモサピエンス」のDNAに刷り込まれたには数字なのではないでしょうか?従ってこの数字を越えようとする試みに対しては,我々は本能的に生存の危機を感じてしまうのではないでしょうか?そんなことを考えながらこの番組を見ています。

QSV: Quest for Super Vision(究極の見え方の追求)

ドラのんた:毎週金曜日午後6時半からFMわっしょい(76.7MHz)で放送中