20120630

2012年6月30日 土曜日 by かわもと眼科院長

今朝は昨日とうってかわって,朝から結構激しい雨です。

 

突然ですが,胃潰瘍の原因は何か?ご存知でしょうか?今ではヘリコバクター・ピロリという細菌が原因だということは「常識」となりました。しかし当初は決して「常識」ではありませんでした。実はこのピロリ菌による胃潰瘍の発症メカニズムの最初の発見は日本人でした。しかし彼の意見は当時の学会からは無視されます。強力な酸性成分を持つ胃酸の中で,生育出来る細菌などいるものか!胃潰瘍はストレスで起こるんだ!その後アメリカの病理学者で,消化器病の大家であった,エディー・パルマーによって,この「胃潰瘍=感染説」は完全に否定されます。しかししかし,1983年,ロビン・ウォレンとバリー・マーシャルによって再び注目されるようになり,次第に事実(エビデンス)が積み重ねられやがて事実として受け入れられ,ウォレンとマーシャルは2005年にノーベル医学生理学賞を受賞します。その道の大家や専門家の予想や考え方というのは往々にして間違っているものです。こうした例は枚挙に暇がありません。医学の分野に限らず,あらゆる分野で起こる現象です。パルマーはウォレンとマーシャルを「胃潰瘍が感染症でなどあるはずがない,世間知らずめ!」と蔑みの目で見ていたでしょうが,当のウォレンとマーシャルの方こそ,パルマーに哀れみの視線を向けていたのかもしれません。

 

 

QSV: Quest for Super Vision(究極の見え方の追求)

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